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和田雄二教授

マイクロ波化学の第一人者である、東京工業大学 和田雄二教授。
マイクロ波を活用したナノ粒子の研究やマイクロ波の可能性についてお話をうかがいました。

和田先生は化学反応にマイクロ波を応用すると、どのようなことが期待できるとお考えですか?


マイクロ波は化学プロセス・反応を制御する新しい手段の一つです。通常であれば、温度、圧力、溶媒、触媒を最適化する事で化学反応の促進が可能です。マイクロ波はそれらの従来方法に加えて、化学反応の新しい制御方法に用いることができるということです。

化学反応に光を使う方法は、光化学という一般的に広く理解された学問として、浸透していますが、マイクロ波化学という学問はまだ有りません。大学としては、新しいマイクロ波化学という学問を作ることで、新しい化学反応の制御方法を確立し、さらに化学産業の製造プロセスにも使える新しい技術になるだろうと考えています。

マイクロ波の研究を始めるきっかけについてお聞かせ下さい。


私は当時(1997年ころ)ヒーター加熱で合成したナノ粒子を使った研究をしていました。あの当時、マイクロ波は単なる電子レンジのイメージで、早く加熱できる道具でしかなかったと思います。今はもう電子レンジのイメージはありませんが、短時間で加熱できるのであれば、先ずはナノ粒子を作ってみるのが一番分かりやすいのかなと、何となく思いました。

また、当時、四国計測工業の作ったいくつかの装置が産業技術総合研究所四国センターにありました。ただ、その装置はあまりに大仰な装置だったので、そこからスタートするのは重いし、費用もかかるので大変かなと。そこで直接、四国計測におじゃまし、化学反応に使えるように電子レンジの改造をお願いしました。具体的には、電子レンジの上部に穴を開けて、還流管や熱電対を挿入できるようにして、下部のターンテーブルを外してマグネティックスターラを入れた装置でした。四国計測の開発した小型装置の一番初期タイプですね。

先ほどの話とどちらが先か忘れましたが、四国計測の装置を使ってナノ粒子合成の実験してビギナーズラックとしてうまくいっちゃった訳ですよ。あれはとても不思議でした。原料の粒径は結構大きいのですが、できたナノ粒子の粒径は数ナノメートルなので。それは本当なのか?と思いましたが、実際できていました。そこからですね、マイクロ波の研究を本格的に開始したのは。

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そのような成功体験をお話しする事で、牽引役としてマイクロ波の技術を皆さんに広めたいという熱意を先生から強く感じていましたが、そのような意図はあったのですか?


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あの当時はもちろん技術を広めたいというのもあるけど、むしろ自分の業績として極めたいというのがありました。そのためには他の人がやっていないことを先ずやって、それを学会や論文で発表する。それに興味を持って周りで使ってくれる人が出てくるということでは、広めたいと言われれば同じことなのですが。

研究者は「最初にやったと言いたい」「誰も知らないことを最初に見つけたと言いたい」という基本的な欲望があるのではないでしょうか。

マイクロ波研究のきっかけにもなったナノ粒子の研究に関して少しお伺いできればと思いますが、マイクロ波加熱の特長がナノ粒子合成にどのように生かせますか?


ナノ粒子合成に貢献しているマイクロ波加熱の特徴は大きく分けて2つあります。

1つ目は、壁からの熱伝導が無関係で、急速に内部加熱できる事です。ニッケル、銀、銅などの単独の金属元素の粒子で粒径分布の狭い粒子ができます。これはマイクロ波でしかできません。反応容器の中に温度勾配が存在しないことが重要です。

2つ目は選択加熱です。例えば、銀粒子の周りを銅で覆う場合、銀の表面を選択的に加熱する事が必要となります。物質の選択加熱というマイクロ波の特性を使えば,覆いたい所だけ加熱できます。これは、マイクロ波でしかできません。

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金ナノ粒子

マイクロ波の特徴を生かした化学プラントとして、どのような物が考えられますか?将来の化学プラントのイメージも、お聞かせ下さい。


マイクロ波の化学プラントへの採用により、反応速度を10倍にできれば反応容器の大きさは1/10にできる可能性があり、従来の化学工場のサイズを大幅に小さくしたいと考えています。もう1つは、エネルギー消費が減るということで、太陽電池から直接電源供給できるようにしたいと考えています。

この2つのアイデアを組み合わせ、小型化することで、オンサイトで必要なものを必要なだけ作ることができれば、マイクロ波は物質製造の有力な一つのツールとなり得るという考えです。

震災時の様に、緊急に燃料製造が必要な場合には、大がかりに燃料を持ち込むのではなく、食用油があってメタノールがあってそれを処理できる太陽光パネルが乗った反応炉があれば、現地調達でバイオディーゼルを製造する事ができます。マイクロ波装置は、そのような小型オンサイトの装置としての役割を担うことができるし、そのポテンシャルを持っています。

このように環境調和型の物質製造手法として、マイクロ波化学プラントが実用化されていけば、将来的に沿岸部に化学コンビナートがない状態というのも夢物語ではなくなるかもしれません。

和田雄二 (わだゆうじ)
東京工業大学 大学院理工学研究科 応用化学専攻 教授
東京工業大学大学院博士後期課程終了後、同大学助手・大阪大学講師・同大学助教授・岡山大学教授を経て、2007年から現職。
日本学術振興会電磁波励起反応場第188委員会委員長
日本電磁波エネルギー応用学会顧問
http://www.apc.titech.ac.jp/~ywada/wada/index.html (研究室HP)
主な著書RFワールド「迅速加熱、内部加熱、物質選択的加熱などを可能とするマイクロ波が拓く近未来 マイクロ波を使った化学 / 材料科学の新世界」
CQ出版株式会社 (2014)
マイクロ波化学プロセス技術 II「電磁波理論によるマイクロ波と物質との相互作用-マイクロ波化学反応機構の構築への序章」
「マイクロ波化学における特殊効果」
シーエムシー出版 (2013) Microwaves in Namoparticle Synthesis
「Precisely Controlled Synthesis of Metal Nanoparticles under Microwave Irradiation」
Wiley-VCH , (2013)
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